ベトナムの2025年前半の外国直接投資(FDI)は過去最高水準となり、同国はASEANで最も戦略的な投資拠点としての地位を固めています。これは、長年にわたる政策調整、貿易ネットワーク拡大、市場成熟の成果です。
政府は大胆な行政改革(63省を34省へ統合、主要省庁の合併)を実施し、意思決定の迅速化や規制遵守の負担軽減を実現。投資家にとって承認取得や紛争解決が容易になる環境を整えています。さらに、全国電子ID(eID)システムの導入により、手続きの効率化、ライセンス取得の迅速化、透明性向上が進みました。特に半導体やAI関連サービスのようにスピードが重視される分野では、大きな魅力となっています。
加えて、ベトナムは多国間貿易協定を通じて世界GDPの半分以上に優遇アクセスを確保し、企業にとってコスト競争力とサプライチェーンの強靭性を兼ね備えた生産拠点となっています。
投資誘致も「量」から「質」へとシフトしており、半導体、先端材料、AI、ブロックチェーンといった高度産業に世界的企業を呼び込む戦略を展開中です。これにより、ベトナムは「低コスト製造拠点」から「イノベーション拠点」へと進化を遂げつつあります。
実際、製造・加工業が依然としてFDIの最大シェアを占めつつも、上流や高付加価値分野への投資も拡大しており、登録資本が実際のプロジェクト実行へ進んでいる点が特徴です。
これらの動きにより、ベトナムはASEAN有数のFDI受入国となり、世界の投資家の注目を集め続けています。